第45章 はめられた指環
【OさんとAさん】
side.A
ソファに寝転がって天井をぼうっと眺める。
最初は見慣れなかったけど、すっかり馴染んだ感じ。
それが、何だか嬉しい。
自分がいるのが普通になってきたのかなって。
「ふふふー……しあわせだなぁ」
口から零れ出るのは何とも締まりの無い言葉。
でも気にしないし、気にならない。
だって、しあわせなんだもん。
恋人のこと考えるってそんなもんじゃない?
それに。右の人差し指に銀色がキラリ。
腕を伸ばし眺めるのは、あなたからのプレゼントだ。
柄じゃないって笑ってて、オレも照れに照れちゃった。
リーダーって昔は結構アクセサリーつけてたんだよねぇ。
今とは違うカッコよさがあって好きなんだよな。
今だってとびっきり、カッコいいけどね。
「あ、もしかして?」
ふと思い浮かんだのは、最近特集してもらった番組だった。
そのとき、昔はブーツとか履いてオシャレって話をした。
このリングをもらったのはその2、3日後だ。
コレ、もしかするともしかするんじゃないかな。
そうだとしたら。
オレのこと好きで好きで堪んないってことでしょ。
うん、まぁ、何て言うか。
どうして簡単にそこまで自惚れちゃうかって、ねぇ?
リーダーがはめてって言ってた指がココなんだもん。
右の人差し指。
言われて不思議だったから調べたんだよね。
そしたらさぁ、自惚れちゃうよ。
知っててオレの指のサイズこっそり測ったんだろうし。
「あー、もう、好き。大好き、マジで好き。愛してる」
うふふーって笑いが止まらない。
早く帰ってこないかなって脚をじたばたさせる。
そうしてたら、落ちた。床に。
痛いって思いながら、体を起こして一息。
すると、少し急いでる感じでドアが開く音がする。
「おかえりー!!」
オレはちょっと大きな声で言う。
今日は、好きが止まらない日ってことで。
思いきり笑って出迎えるんだ。
それでキスして、ぎゅうって抱き締めよう。
他の誰と比べても大切な、オレの最高の恋人をね。
***:*
右手の人差し指→「一途」