第11章 小田原城再び
『主がお話した通り、私は毒は効かない体質です。
ですがその代わり体に良い薬も効かない体質なのですよ』
『そうなんですね。薬が効きにくいのは可哀想な気がしますけど…』
『薬など必要ないくらい強くなればいいのです』
(うーん、強い人は言う事が違うなぁ)
自分の部屋まで送ってもらうと、文机に何か置いてあるのに気がついた。
和紙に包まれた和菓子のようだ。
つい先ほど氏政に言われた事を思い出す。
(決して口にするな、だったよね)
『小太郎さん、これが部屋に……』
すぐに廊下にいる小太郎にそれを渡すと、顔色が一変したのが分かった。
『しばらく部屋から出ないでください』
小太郎はそう言うと急いで氏政の私室へと向かって行った。