第11章 小田原城再び
適当にした質問だったけれど想定外の展開になってきた気がする。
『何度も言いましたが不思議な力もないですし、術なんか使えません』
『強情だな。また先日の様にしてやってもいいのだが?』
『そんな事されてもないものはないんです!』
『優しく待てるうちにその力の使い方を話すことだ。さて、質問に答えるのはここまでだ。今夜はもう一度囲碁に付き合え』
そしてまた直美が勝ち、この夜の勝負は幕を閉じたのだった。
氏政の部屋を出ると珍しく小太郎が話しかけてきた。
『今夜は私の話もしていた様ですね』
『はい。聞こえてたんですか?』
もしかしたら先日の夜も部屋から漏れる声が聞こえていた可能性がある。
考えたところですでにどうしようもないのだけれど。