第11章 小田原城再び
気持ち良く汗をかいた後、城下にある屋敷の部屋に戻ろうと鍛練場を出る。
外に繋がる廊下を歩いていると思わぬ人物とすれ違った。
それは氏政との囲碁勝負に向かう直美だった。
すぐ後ろには小太郎の姿もある。
「あっ!」と声が出そうになるのを必死で抑え、直美に深々と頭を下げた。
直美も幸村に頭を下げて礼をすると、無言でその場を後にした。
(あいつ、気づいてねーのか?だとしても俺がこれからやるべき事に変わりはないけどな)
城下に出ると三ツ者に今日の出来事を報告し、自分の部屋へと戻った。