第11章 小田原城再び
小田原城では
正式に登城した幸村が謁見の間で待っていると、一人の男が入室し上座に座った。
幸村は男に挨拶する。
『真田幸村と申します。
こちらにて召し抱えていただけるとの事、感謝いたします』
『私は城主である氏政の弟の氏照だ。
兄は人嫌いでな、この様な場にはほとんど出てこない。
故、兄との連絡は全て私が行っている。
何かあればすぐに私に報告する様に』
『承知いたしました』
堅苦しい挨拶を終えると、氏照の部下に城内を案内してもらう。
すると廊下の先にいる風魔小太郎が視界に入った。
廊下の柱に背を預けて座り、武器の手入れをしている様だ。
(あいつの前にあるのが直美の部屋か。牢よりマシだけどあれじゃ部屋にいても気が抜けねーな)
外に出るための通路や死角になる場所を頭に叩き込んでいく。
城の中を一通り案内してもらった後は、城内の鍛練場で暗くなるまで汗を流して過ごした。