第2章 安土城
直美が身支度をしている間に、廊下に1人の武将が現れた。
政宗が話しかける。
『なんだ、光秀。直美の着替えでも覗きに来たのか?』
『小娘に興味はない。だが信長様が拾ってきたのだ、興味はあるな』
『信長様が何を考えて直美をこの城に連れてきたのかはわからねぇ。着物の着方も知らない変わった娘だ。どこかの姫かもしれん』
『小娘の正体などこれからの謁見で聞き出せばいい。本能寺にいたのだ。信長様を救い出したと見せかけて実は暗殺に関わっているかもしれんのだぞ。お前、尋問は得意だろう?』
『尋問なんざ好きでやってるんじゃねぇ。それに信長様の命を救った女を尋問なんてするかよ。光秀、お前もだろうが』
『それはどうかな…さて、小娘の支度が整った様だ』
襖が開くと、二人がこれまでに見たこともないような美しい姫がそこに立っていた。
『政宗、どうかな。変じゃない?』
『お前、本当に直美なのか?』
『ほぅ、元気な小娘と聞いていたが見た目は悪くないな』
『こいつは明智光秀、信長様の家臣として仕えてる。あ、おい、光秀てめえ!』
政宗に紹介された光秀は直美の右手を取ると目を合わせたまま手の甲にキスをした。
『ちょっと!?なにするんですかっ!』
『浮かない顔をしてたので緊張を解いてやろうと思ってな』
『緊張なんてしてませんよ!』
(ご飯と寝る場所の事考えてちょっと不安になってただけだもん!)
直美は顔を真っ赤にしながら
政宗は光秀を睨みながら
光秀は楽しそうに表情を緩ませながら3人で広間へと向かった。