第10章 顕如
安土城では
信長の元に顕如の行方を追っていた斥候から知らせが届いていた。
信長は武将たちを広間に集めると矢継ぎ早に指示を出していく。
『皆、戦の準備は進めているな。
顕如が数日内に山中城を拠点にするとの情報が入った。
これはまたとない機会だ、山中城を攻める』
『それならこっちは駿府城を拠点にした方がいいですね』
家康の言う通り駿府城と山中城は約80キロ程しか離れておらず、拠点にするにはちょうど良い位置にある。
『秀吉、家康、政宗は今すぐ駿府に向かい山中城周辺の町の米を全て買い上げろ』
『山中城への米の流通を完全に断つのですね』
三成も信長と同じ策を頭に描いていた。
『そうだ。米を断てば水が最重要になる。
敵の一人を寝返らせ、井戸に塩でも入れさせれば容易に兵力を削げるだろう。
籠城させ、降伏しないのであれば容赦なく討つ』
『こちらの兵力を無駄にすることのない最善の策だと思います』
『三成、状況を見て必要であればすぐに新たな策を立てろ。光秀は安土に残り引き続き情報を集めろ』
顕如討伐に向け、いよいよ織田軍が動き出した。