第42章 いざ、安土城へ
その後、久しぶりに自分の部屋に戻り着物に着替えて広間に向かうと、すでに宴の準備が終わって全員で直美が来るのを待っているところだった。
『すみません、遅くなりました』
広間に入り、正座して頭を下げると信長の隣に来るように言われる。
『それぞれ皆、大義であった。直美、今宵は春日山での話を聞かせろ』
『はい!』
信長の盃を満たしながら安土を離れていた時の事を話し、あっという間に宴の時が過ぎていった。
同時刻、安土の地下牢では。
小太郎の監視のもと、蘭丸が光秀から預かった鍵で顕如の牢の鍵を外していた。
『これより駿府城へと移動していただきます。数日後に武田信玄公と合流し、甲斐で身を置く寺に着くまで護衛いたします』
信長からの命を受け、しばらくは小太郎が顕如の監視、護衛を兼ねて同行する事となっていた。
(まさか本当にこの鍵を使うなんて思わなかったけど。きっと全て信長様の筋書き通りってやつなんだろうな)
蘭丸も信長から顕如の監視と護衛を命じられている。それも無期限で。
3人は人目につかない様に裏の通路を使って城の外に出ると、用意された馬に乗ってゆっくりと駿府城を目指し進み始めたのだった。