第42章 いざ、安土城へ
久しぶりに戻ってきた安土城の中、三成たちの姿を探しながら早足で進んでいく。
(あの3人がいそうな場所…三成くんなら書庫かな)
どこにいるのか秀吉に聞いておけば良かったと今さらながら後悔してしまう。
とりあえず書庫へ、と廊下を急いで右に曲がった瞬間、誰かと勢い良くぶつかってしまいその反動で後ろにひっくり返りそうになる。
(わわっ!転ぶっ!……………あれ?)
真後ろに倒れる寸前のところで強く腕を引かれ、ぶつかった相手に抱き止められる状態になっていた。
たがどうにか転ばずに済んだらしい。
『ご、ごめんなさい!!急いでいたので…』
慌てて離れようとすると頭上からクスクスと笑う声が聞こえてくる。
『どうやらまた1から姫らしくなるように鍛え直して欲しい様だな』
『え?…あれ?光秀さん!!』
ぶつかった相手は光秀で、しかもそのすぐ後ろに三成と政宗もいる。
『直美様、お帰りなさい』
『城門で秀吉に会っただろ?一刻以上前からずっと帰りを待ってたみたいだぞ。おい、光秀、いい加減直美を離せ』
クスクスと笑いながら離れる光秀が耳元で囁く。
『家康と同じ白檀の香りか。成る程、つまりはそういうことか。あいつも隅におけないな』
『あの、とんでもない誤解をしてますからね?』
『さあ、どうだかな。否定すればするほど肯定とはよく言ったものだが…』
『本当に違いますから!!!』
その後もしばらく光秀の意地悪な問答が続いたがこれもこれまでの日常のワンシーンで。
こんな会話すらもいとおしく感じてしまうのだった。