第41章 ズッ友と買い物
一瞬にして静かになった広間で、一番先に口を開いたのは静かに様子を見ていた景家だった。
『この城の大切な客人は男女や身分に関係なくもてなすのは当然の事。これよりささやかではありますが歓迎の宴を始めさせていただきます。皆様よろしいですね。直美様はこちらへどうぞ』
有無を言わせない景家の案内で謙信の隣に腰を下ろすと、タイミング良く幸村、佐助、小太郎の三人が広間に入ってくる。
先ほど城下で購入した梅干し、甘味、そしてお酒と料理を次々と広間に運び込むと先ほどまでの空気は一蹴され、今は誰が毛利元就に最後の一太刀を浴びせるかを真剣に話し合っている。
(こういう話になるとみんな信じられないくらい真面目な表情になる、話の邪魔をしないようにお酌をして回ろう)
形式的には歓迎の宴だが、それは飲んで浮かれて楽しく過ごすものとはだいぶ様子が違う。
お酒が入ってからの話題はずっと毛利元就についてのことで、まずは安土から送った斥候、信玄の率いる三ツ者、そして小太郎の仲間たちによって持ち込まれた情報の共有が行われていく。
(宴というよりまるで軍議だけど…でも何だかみんな楽しそう)
何やら聞いていると、次に毛利元就が何か仕掛けてきた時は問答無用で安芸を攻めるという話になり、そして最後に誰が毛利元就に一太刀浴びせて息の根を止めるかで話が盛り上がっているのだった。
(あれ?でも確か毛利元就って確か長生きして最期は戦死じゃなくて老衰で亡くなったんじゃなかったかな。だとしたらこの話は夢物語なわけだけど…)