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イケメン戦国 安土城の居候

第41章 ズッ友と買い物


佐助の方を見ると、いつも無表情の佐助が皆の話を聞きながらわずかに笑っているように見える。


(やっぱりそうだ、佐助君のあの表情。でも言えるわけないよね)


安芸をどう攻めるかで散々盛り上がった後、話は顕如と蘭丸の事になり、そして最終的に明日の朝には春日山を発って遠江へ向かう内容へと変わって行った。


(本当に明日、ここを発つんだ…)


そう考えたら急に寂しくなってきたのだが、それは自分だけなのか全員の表情はいつもと全く変わらない。


唯一、景家だけが少し寂しそうな困ったような表情をしているが、特に気にかけるほどの事ではなかった。


(景家さん、謙信様の正室になってくださいとか最初はむちゃくちゃだったな。もしかしたらもう当分会えなくて寂しいって思ってるの私だけなのかな)


実際そうなのだが、本人がその訳を知るよしもなく。


軍議のような宴は誰一人飲み潰れる事のないまま終わりとなった。



実はこの日、幸村たちと買い物で城下に出ている間、謙信、景家、信玄の三人で集まり冬の計画を立てていた。


『景家、冬の間は戦がない。言わずともわかるな、この城は頼んだぞ。人手と金は好きなように使って構わん』


その一言で景家は全てを理解する。 


『問題ありません。何かあれば安土まですぐに軒猿を走らせます』


『おい、謙信。随分楽しそうだな。甲斐も冬は雪深くてな、戦はないんだ』


『戦はなくとも顕如の見張りがあるだろう』


『ああ、だが俺が毎日見張る訳ではない。蘭丸も三ツ者もいる。共同統治だから安土には何度も足を運ぶ必要があるだろう。だったら最初から安土にいた方が早いってやつだ』


『ふん、好きにしろ』


お互い何のためにとは本音をハッキリ言わないものの、直美が安土に戻るのを数日後には追いかける。そんな計画を立てていく。


そしてそれは信玄の口から買い物を終えて城に戻ってきた佐助と幸村に伝えられた。


もちろんこの2人に拒否権などあるはずもなく。


全ては謙信と信玄の意のままに進んで行く。


結果、春日山のメンバーだけで秘密裏に話を進めていく事となった。
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