第41章 ズッ友と買い物
謙信と直美が広間へ入ると、すでに信長、家康と信玄、景家の4人が向かい合って難しそうな表情で何やら話し合っている。
どうやらその内容は今後の甲斐の国の共同統治についての事で、直美にとっては初めて耳にする事ばかりだ。
謙信は口を挟まず黙ってその会話に耳を傾けている。
一通り話が終わると信長と家康の前まで移動し、春日山城まで迎えに来てくれたことへの感謝の気持ちを伝える。
『信長様、家康、わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます』
『こちらの都合とはいえ、半ば無理やり行かせたも同然だからな』
『あんた、ここで泣かされてない?無理やりお酒とか飲まされなかった?』
『大丈夫だよ!無理な事を頼んだのは私の方だったし、ここではとっても良くしてもらったから。着物まで作ってもらったんだよ』
『ほう、着物か』
信長がニヤリと笑いながら謙信に視線を向ける。
家康もほぼ同時に目を細めながら謙信を見ていた。
『当然だろう、ほとんど何も持たずにここに来たのだからな。大切な客人としてこちらとしては精一杯もてなしたつもりだ』
謙信もまた不適な笑みを浮かべながら信長に言葉を返した。
(なんだろう、この空気。ただの会話とは思えないんだけど…)
『安土からの大切な客人をもてなすのはこちら側の務めだ。小谷城も一乗谷城もあるべき姿になり、戻るべき場所に懐刀も国も戻る、有意義な逗留だったと俺は思うがな』
信玄がそう言いながら間に入る。