第41章 ズッ友と買い物
『『!!!』』
贈られた着物に着替えた直美の姿を見て、幸村は顔を赤くしながら下を向き、佐助は動きが止まっている。
『ねぇ、どうかな?佐助くん……幸?……ねぇ!!2人とも話聞いてるの!?』
『あ、ああ、すまない。その…あんまり似合ってたものだから驚いてしまって。幸村もそう思うだろ?』
『ん……ま、まあ、そうだな。な、なかなか似合ってんじゃねーの?あの2人が選んだものなら間違いないだろ』
『えー、なんかさっきと態度が違うんじゃない?』
『いいからそのまま城に戻るぞ。佐助、こいつの荷物持てるか?』
『ああ、大丈夫だ』
『待って!!そのままって…もう一度着替えてきた方が良いんじゃない?汚れちゃうかもしれないよ?大事な着物なんだし…』
直美が全て言い終わる前に佐助が状況を説明し始めた。
『直美さん、ごめん。悪いけど今、着替えてる時間はないんだ。小太郎さんからの報告で安土からのお迎えがあと一刻後には春日山城に到着するらしい』
『安土から?ってことは信長様と家康が?』
『うん。そろそろだとは聞いていたけど、いよいよ安土に帰る時が来たってことだ』
『そーゆーことだから今すぐ城に戻るぞ』
『うん、わかった!』
急いでお店を出て春日山城に向かう。
着物を汚さない様に最大限の注意を払いながら小走りで城を目指す。
離れた場所から3人が無事に城門を越えたのを見届けると、小太郎はある人物に合図を送った。
『どうやら城に戻ったようだな』
『あんな良い着物を着て城下を走るとか信じられない。あの子、仮にも織田家ゆかりの姫なのに。秀吉さんが見たら泣きますよ』
『どこにいても変わらん様だ。やはり自由にさせておくのがいいのだろう』
会話の主はまさに間もなく春日山に到着すると言われていた信長と家康だった。