第41章 ズッ友と買い物
渡された包みを広げてみると、綺麗な刺繍が施された着物と帯、さらには帯締めや草履、簪など着物だけでなく綺麗に着飾る装飾品までもがそこにまとめられていた。
(謙信様と信玄様、ずっと忙しかったはずなのにいつの間にこれを!)
『いかにもあの2人の趣味って感じだけどセンスは抜群だし、良い素材を使ってる』
『でもこいつに着こなせるかどーかは別だけどな』
幸村が挑発するかのように笑うのだが、なんだかそれが悔しいけど嬉しかったりする。
『ちょっと幸!あの2人が選んでくれたものなんだから着こなさないと逆に失礼でしょ!』
『直美さん、せっかくだから着てみたら?』
『本当に着こなせるかどーか、まず俺たちが判断してやるからとっとと着替えてこい』
2人にそう言われ、店の奥の部屋を借りて受け取った着物に着替え、髪を結い直し、店の主人の計らいにより綺麗に化粧を施してもらう。
(よし!っていうか、やっぱり武将クラスになると選ぶ物のセンスが全然違うんだな。質もよければデザインも良くて。こんなに価値のある着物に触れる事が出来るのもあの日、本能寺に飛ばされたからだよね)
頭の中に最初にこの時代に来た日の事、それからの日々の事が走馬灯の様に浮かび上がる。
小田原城で用意されてた着物も素晴らしかったけど、やっぱり信長様と謙信様のセンスは抜群だ。好みの押し付けじゃなくてちゃんと私を見て選んでくれているっていうのが分かるもの。
どちらがどうという事ではない。
どちらの選んだ着物も値段など付けられるものではないのだ。
『似合ってるかどうかは置いといて、とにかく大事にしよう』
そう自分に言い聞かせながら佐助と幸村の元へ戻って行った。