第41章 ズッ友と買い物
『ちょっと待って!佐助君、幸、どこに行くの?』
『今日は城下に出たら必ず直美さんにお土産を買う様に謙信様と信玄様から言われてるんだ』
『欲しいのがあるなら代わりに買ってやればいいだけの話だけど、もし自分の分を遠慮して選ばないなら連れていけって言われてた店があんだよ』
言われるがままに案内されたのは老舗を思わせる雰囲気の立派な造りの反物屋だった。
そんな事まで話が及んでいるとは全く知らず、手を引かれるがまま店の中に入る。
すると中には店の者が数名、しかもその中に見たことのある人物がいる。
『あれ?あの人どこかで………あっ!』
それは謙信との夜を過ごした日の朝、春日山城に来ていた反物屋の者で間違いなかった。
『姫様、先日はありがとうございました。お元気そうで何よりです』
『こちらこそありがとうございました。こちらで作っていただいた着物、とっても気に入っているんです』
『それはよかった。今日は直々に来られたということは……ちょっとお待ちくださいね』
反物屋の店員は一度店の奥へ行ってしまったが、すぐに荷物を両手に抱えて直美たちの元へ戻ってくる。
『春日山城主、上杉謙信様とそのご友人の武田信玄様より、こちらの品を姫様に渡すよう承っております』
『えっ!あの二人から?』
驚いて佐助と幸村を交互に見ると、二人とも受けとれと言わんばかりに優しい笑顔のまま軽く頷いてくれた。