第41章 ズッ友と買い物
賑やかな大通りへ続く道を3人横並びで歩く。
『そういえば佐助君と幸とこうして3人で城下町を歩くのって2回目だよね!』
『うん、あの時は人質として来ていたけど今はお客様だ』
『そんなことあったなー。いいか、今日はウサギがいても絶対に追いかけねーからな』
3人でくたくたになりながらウサギを追いかけた事を思い出す。
あの時に毛利元就と出会ってしまった事も。
もちろん今は毛利の関係者は春日山から姿を消し、城下には怪しい者の姿は見られない。
『ふふっ、分かってるよ。遅くなると謙信様も信玄様も心配するから買い物したら真っ直ぐ帰ろう。早く甘味を食べないと信玄様、死んじゃうんでしょ?』
『んなわけねーだろ。一生食べなくても死なねーよ』
『まあ、買いに行くと言った手前、買わずに帰る訳にはいかないけどね』
話をしながら向かった先は、見覚えのある甘味屋だった。
中に入るとさっそく幸村が店主に注文の指示を出す。
『えーと、そうだな……あれとこれとそれと…そっちの丸いのと四角いのと、あ、あとは奥の白いやつを頼む。全部一つずつな』
(わっ!やっぱり前と同じだ!幸は相変わらず信玄様に甘い、甘すぎる!)
たくさんの甘味を手に店を出ると、次の目的地に向かう。
ここも見覚えのある店だ。
佐助は先頭に立って店内に入ると迷うことなく注文を開始する。
『すみません、いつもの梅干しを300個ほど持ち帰りでお願いします』
もちろん佐助の表情は至って真面目だった。