第41章 ズッ友と買い物
『ほら、あっち。あそこの木の上だよ』
佐助に促され、目を細くしながらよく見ると、そこには小太郎の姿があった。
『あ!小太郎さんだ!久し振り!おーい、小太郎さーん!元気~!?』
名前を呼びながら手を振ると、小太郎も軽く手を振りながらまた違う木の枝へとあっという間に移動してしまう。
『あれ、いなくなっちゃったよ!?』
『そりゃそーだろ!あいつは忍なんだから忍びながらお前の事を護衛してんだろ?居場所がバレたら忍べねーだろ』
『あ…確かにそうだ。あれ?佐助君は忍ばなくてもいいの?』
『ああ、ここはホームグラウンドだから俺が忍ぶ必要はない。小太郎さんがもし春日山を堂々と歩いてたらそれはそれで複雑だからね。だから離れた所から見てくれているんだよ』
『なんで?何か不都合でもあるの?』
『おいおい、どこかから来た間者が上杉軍が風魔と組んだなんて間違った報告してみろ。春日山が忍同士の争いに巻き込まれる事になるぞ。そんな面倒くせーの勘弁だからな』
幸村の説明には納得だった。
小太郎は風魔一族の5代目頭領なのだ。
そんな人物だから他の忍に顔も知られているし、その存在すら警戒されている程だ。
『とにかく、今日は三人でしっかり護衛するから安心して城下を歩いて。城には暗くなる前に戻れば大丈夫だから』
『わかった!今日はよろしくね!』
こうして心強いメンバーに見守られながら城下での買い物がスタートしたのだった。