• テキストサイズ

イケメン戦国 安土城の居候

第40章 最後の勝負


『ん?どうした?もしかして柿は苦手だったかな?』


さすがに何を思い出したかなど言えるはずもなく。


信玄の手には触れない様、意識しながら柿を受け取った。


『柿、好きですよ。一乗谷へ向かう前の日に幸の部屋で食べたんです。甘くてとっても美味しくて。ちゃんと500年後に繋がってるなって思いました』


食べた後の事を思い出しながらも、話を違う方向に持っていく。


もちろん今この場で謙信の事をはっきりと思い出さないためだ。


もしもあの日の事を思い出せば確実に顔に出るだろう。


『へえ、500年後の時代でも食べられているのか』


信玄からは特に怪しまれる様子もなく、そのまま会話が続いていく。


『はい。どんどん品種改良されて美味しい柿をどこにいても食べられます。流通も発達していますからね。500年後の甲斐の国でも美味しい柿が作られていますよ』


『なるほどね、未来の甲斐の国には綺麗な水と土と空気がある。嬉しいよ、聞かせてくれてありがとう。さあ、再びお腹が鳴る前に召し上がれ』


『はい!ありがとうございます。いただきます』


受け取った柿を食べるため勝負は再び中断する。


『うん!やっぱり甘くて美味しい!』


(でも……)


上手く言葉にならないけれど、違う感情に頭の中を支配されていた。

/ 596ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp