第8章 小田原城
一方、春日山城では三ツ者からの報告を受けた信玄が他の3人に状況を説明していた。
『いつの間にか氏康が消えて次男の氏政が城主になってる。それだけじゃない、信長が寵愛している姫に不思議な力があるとかで無理矢理小田原に連れ去ってきたらしい。
その姫が本能寺の森にいた天女ってのもすでに調べがついている』
信玄の言葉に一番分かりやすく反応したのはいつもクールな佐助だった。
『直美さんは無事なんですか?』
『ああ、城下町にある店を回って歩く姿を何度も確認している。だが……』
『なんだ、信玄。もったいぶらずに早く言え。斬られたいのか』
謙信はいつもの様子だ。
『天女の側にいる護衛の男が厄介でな。あれは風魔の頭だ。一筋縄ではいかないだろう』