第8章 小田原城
『光秀、北条についての情報はあるか』
信長が厳しい表情で光秀に尋ねる。
『はい。城主である北条氏康が病で急死し、現在は次男の氏政が実権を握っている様です』
『次男?いかにも怪しい筋書きだな。病に見せかけ、父だけでなく兄も殺したのではないか?たやすく想像がつく』
『その可能性は大いにあるでしょう。実際、城下での氏政の評判は良くありません。城から出る姿を見た者もいないとの事です』
光秀の報告通り、暗殺を恐れているのか氏政が城の外に出る事はほとんどなかった。
『敵将が城にいる限り、正面から攻めるのはやはり避けるべきでしよう』
この秀吉の意見には信長も光秀も賛成だった。
『顕如はどうなっている』
『小田原を出た後は近隣の寺を回っています。北条の領地で持ち駒を増やしていると思われます』
『殺生を禁じる寺を回ったところで兵力が増えるとは思えん。直美を早く助けたいが先に顕如を討つ。異論はないな』
『『承知いたしました』』
この後、政宗、家康、三成が広間に呼ばれると朝まで軍議が行われた。