第38章 一乗谷城の戦い
信長と家康が一乗谷城に到着する少し前ー
激しい雨と風の中、雷が大きな音で鳴り響きながら天守を直撃し、そこから次第に炎が広がっていく。
突然の天候の変化を疑問に思った佐助が外に出て様子を伺うと、城の上空にだけ厚い雲が集まっているのが見えた。しかも目の前で天守が燃えている。
少しずつではあるけれど雨と共に風も強くなっているのがわかった。
(これは……まずい、もしかしたらワームホールがここに発生するかもしれない!)
『幸村!ちょっと急いで謙信様の所に行ってくる!馬は任せたから』
珍しく急いでいる様子の佐助を見た幸村の表情もつられて険しくなっていく。
『おー。なんかわかんねーけど気を付けろよ』
佐助は雨の中、謙信たちを探して走り続ける。
すると2度目の落雷が再び天守を直撃し、さらに激しく炎が上がっていく。
(また同じ場所に……っていうことは、ワームホールが現れるのは俺じゃなくて直美さんの所か!家康さんが助かって安心したばかりなのに一体どうして…)
謙信たちの居場所を探しながら城内を歩いていると、ちょうど伊賀の忍との戦いを終えた謙信たちがこちらへ向かってくるところだった。