• テキストサイズ

イケメン戦国 安土城の居候

第8章 小田原城


直美が金平糖のお店に来たのには理由があった。

それは勿論、金平糖を買うためではない。


(きっとこの城下町に光秀さんが斥候を送ってくるはずだから、少しでも分かりやすい場所で自分の目撃情報を作っておかなくちゃ)

安土にいた時は城下といえば金平糖だった。

秀吉、家康と一緒に買いに行った記憶が鮮明に残っている。

小田原城下でも同じように金平糖のお店に立ち寄る自分を誰かに見つけて欲しい。

今の自分に出来るささやかな願いだ。


金平糖のお店の後は反物屋や簪などを売る小間物屋、髪結い処を見て回る。

それはもちろん安土にいた時も度々足を運んでいる類いのお店だった。


『お気に入りの散歩の道順なの』

小太郎にそう言って、城下に出る時はいつも同じ店を見て回った。

その意図を決して悟られてはならない。

安土に帰るために必要な事だと自分に言い聞かせた。



光秀の送った斥候が直美を城下で見つけるまでにさほど時間はかからなかった。

同じ頃、信玄が送り込んだ三ツ者も城下で直美の姿を見つけ、北条家の情報を春日山へと持ち帰っていた。
/ 596ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp