第38章 一乗谷城の戦い
『家康さんに飲ませた解毒薬は効いています。その証拠に消えかけた体の一部が戻りました』
『それは良かった。直美様もさぞかし安心している事でしょう』
『小太郎さん、今から謙信様たちの所に戻りますが、その前に寄るところがあるんです。一緒に来てもらえますか?』
『もちろんです。佐助殿は直美様の大事なお友だちてすから。助太刀いたしますよ』
『ありがとうございます。では今すぐ一乗谷城まで急ぎます』
佐助と小太郎は織田軍の本陣を後にして一乗谷城に向かう。
その頃、謙信たちは一乗谷城から少し離れた場所を走りながら、時間稼ぎという名の伊賀忍狩りを楽しんでいた。
忍に道を塞がれると即座に謙信、信玄、幸村が応戦してその先を切り開いていく。
3人の姿に感心しているうちに、消えかけた手の一部が元に戻っていくのを確認することが出来た。
(あぁ、良かった!!佐助君と虎太郎さん、無事に解毒薬を届けてくれたんだ!)
『謙信様~!佐助君たち、ちゃんと解毒薬を届けてくれたみたいです!!』
手のひらを見せながら上機嫌で謙信に報告をする。
『そうか、間に合ったか。良かったな』
(離れていてもこんな笑顔にさせるとは、やはり佐助は一度斬るべきだな)
言葉とは裏腹に、佐助にメラメラと対抗心を燃やす謙信だった。