第38章 一乗谷城の戦い
解毒薬を持った小太郎と佐助は織田軍の本陣に向かって急いで馬を走らせる。
途中で何度か伊賀の忍に遭遇するも先を急ぐ2人に敵うはずもなく、あっという間に倒されていった。
休むことなく走り続け、無事に本陣の目の前に到着すると小太郎は佐助に解毒薬の入った小瓶を手渡し、全てを託した。
『小太郎さん、行かないんですか?』
『私が持って行けば本物かどうか疑われる可能性があります。佐助殿は織田軍に信頼されていますからここから先はお任せします。時間がないのでしょう?急いでください』
『わかりました。小太郎さん、ありがとうございます』
佐助は小瓶と香袋を手に織田軍の本陣へと進んでいく。
突如現れた佐助の姿に兵たちは騒然としていたが、伊賀の忍が持っていた解毒薬を持って来たことを伝えるとすぐに信長との謁見を許された。
信長は家康が横になっている天幕の中に佐助を連れていくと話を始める。
『佐助、それは伊賀の忍が持っていた解毒薬で間違いないのだな』
『はい。これは先ほど直美さんが体を張って手に入れた貴重な解毒薬です』
『体を張っただと?』
『はい。でも安心してください。彼女には怪我ひとつありません』
『あいつ…せっかく春日山に行っていろと言ったのにやはり鉄砲玉の様な女だな。上杉でも抑えられんか』
『今、ここに来ているのは彼女の意思ですが謙信様も信玄様も一緒ですので心配いりません。どうか責めないであげてください。直美さんが決断しなければこの薬は手に入りませんでした』
佐助は解毒薬の入った小瓶を信長に見せる。