第38章 一乗谷城の戦い
その場に残ったのは謙信、信玄、幸村、そして直美の4人だ。
『謙信様、信玄様、この後はどーするんですか?』
『幸、安土からの援軍が来るまでの時間稼ぎだ。忘れたのか?』
『そうでした。でも具体的にどーするつもりですか』
『幸、私がまた先頭を走るよ!薬はもう手に入れたから、あとは交渉して時間稼ぎするだけだよ』
安土からの援軍が来るまでは、出来るだけ伊賀の忍の矛先をこちらに向ける必要がある。
ちらりと謙信の方を見ると、謙信も直美が先頭を走る事については同じ考えらしい。
『確かにそれが一番手っ取り早いが交渉など必要ない。道を塞ぐものは綺麗に始末してやるから歌でも歌いながら楽しく駆けていろ』
(ええっ!?交渉するからって必死に説得して着いてきてもらったのに、戦いたくて仕方ないって顔に書いてあるような…歌いながらはさすがに無理だけど、守ってもらうんだからここは言うことを聞いておこう)
『わかりました。さっそく出発します!』
消えかけた左手の小指はそのまま変化はない。
(大丈夫、解毒薬は手に入れた。歴史を変えたりなんかしない。今出来る事に集中しよう!)
そう自分に言い聞かせると、再び御影の背に乗って前に向かってゆっくり走り出した。