第38章 一乗谷城の戦い
しばらくした後、信長は青白い顔をして意識を失っている家康を見つけ、すぐに本陣に連れて帰り天幕の中に寝かせる。
頬の傷からは出血が止まらず、大量の汗と高熱も出ている様だ。
『こちらで用意してきた解毒薬をとにかく試せ。全て効かぬのであれば伊賀の忍から何としてでも手に入れる』
家康の口にすぐに用意された解毒薬が流される。
しかしそのどれもが大した効果はなく、ただ時間だけが無情にも過ぎていった。
まだ援軍が来るには時間がかかる。
ここでやられる様では天下など取れぬ、信長はそう自分に言い聞かせると天幕で横になる家康のそばで様子を見続けたのだった。