第36章 有言実行(R18 )
『謙信様!いるんなら声をかけてから開けてくださいよ!』
『俺の城だ、どうしようと自由だ。幸村、郷に入れば郷に従えだな。とりあえず佐助は斬る』
(ええーっ!もしかして聞いてたの!?)
一体どこから話を聞いていたのか。
姫鶴一文字に手をかける謙信を慌てて制した。
『謙信様!皆さんのおかげで私は無事でしたから!だから謙信様のお部屋に戻りましょう!』
佐助は冷静にこの状況を分析している様子だ。
幸村は巻き込まれるのが嫌なのか、すでに壁際に移動して腰の刀に手をかけている。
『謙信様、大事なお客様の前で刀を振るうのはどうかと思います』
佐助にそう言われ、謙信は握った刀から手を離した。
『佐助、俺に背中を見せたら斬られると思え』
『はい。肝に命じておきます』
一瞬ヒヤリとしたけれど何とかその場をやり過ごした事にほっとする。
『佐助君、幸、ありがとう。もう謙信様のお部屋に戻るね』
『おー。またな』
『謙信様、直美さん、また明日』
幸村の部屋を出ると謙信の後に続いて部屋に向かった。
幸村の部屋で時間を上手く潰せた様で、空はすでに暗くなり始めていた。