第34章 春日山城、再び
『はあっ!?何だよそれっ!!』
幸村の驚く声が部屋に響いたが、こうして驚くのが普通の反応だろう。
信玄は、やはりなという表情で佐助を見ている。
余裕を感じさせる流石の大人対応だ。
『驚かせて悪い。俺の場合は説明しようと思っていたらいつの間にか4年が過ぎていた』
『4年て…逆によく黙っていられたな。ま、お前たちがどこから来ようと今までと変わりねーけど』
『幸村、ありがとう』
あんなに大きな声を上げて驚いた割にはすんなりと受け入れてくれた様で。
そこからは何事もなかったかのように話が振り出しに戻っていく。
安土城にいた時と全く同じようにとはいかないけれど、こうして気にかけてもらえることを本当に嬉しく思った。
『あ、佐助君!この部屋に来た理由なんだけど、梅干しは無事に買えたの?』
『もちろんだよ。謙信様、今渡します』
佐助は立ち上がると隅に置いてあった机の上の包みを取り、謙信に手渡した。
『佐助、城下の様子はどうだった』
『それなんですが…ちょっと気になる噂話を耳にしました』
部屋の空気が一瞬にして変わったのを感じる。
『何だ、言ってみろ』
謙信に促され、少し間を置いて佐助が話を始めた。