第34章 春日山城、再び
春日山城に着くとすぐに上機嫌な景家に出迎えられた。
『謙信様、直美様、おかえりなさいませ。城下はいかがでしたか?』
『城下は人目が多すぎる。それと、今夜は俺の部屋の周囲の人払いをしておけ』
『!?…かしこまりました』
景家と目が合い、その瞬間に満面の笑みを浮かべられる。
『景家さん!違うんです!これは誤解ですから!』
『心配ありませんよ。今夜は謙信様とごゆっくりお過ごしください』
そう言うと景家はスタスタと歩いて2人の元を離れていく。
やはり景家には何を言っても無駄な様で。
(完全に誤解されてるよ……こうなったら佐助君を頼るしかないな)
一刻も早く佐助の元に行きたい。
『そういえば佐助君、梅干しを買ってきてくれたでしょうか?』
『佐助?ああ、そういえばそんな事を頼んでいたな』
『私、佐助君の部屋に行って聞いてきます!』
『待て、俺も行く。城下町の様子もしっかりと聞きたいからな』
2人で佐助を探しながら部屋に向かうと、何故か佐助の部屋には信玄と幸村が来ていた。
『お前たち、佐助の部屋で何をしている』
謙信の低い声が佐助の部屋の中に響いた。