第33章 毛利元就の思惑
その頃、秀吉たちは小谷城の南の城下町の近くに到着して陣を敷いていた。
『そういや、暴れていいとは言っていたが殺すなとも言っていたな。俺にとってはかなり矛盾してるんだが…』
政宗が刀を手入れしながらぼやいている。
もちろん秀吉はそれを聞き漏らさなかった。
『一体どこが矛盾してるんだ?信長様はちゃんと先の事を考えていらっしゃる。だから絶対に一人も殺さずに城を奪い返すぞ、いいな?』
『秀吉様、おそらく本願寺の門徒たちは捨て身の攻撃でこちらに向かって来ます。浅井の兵とは違って城下町を巻き込んでも何とも思わないはずです。気をつけてください』
事前に信長から敵を一人も殺すなとの指示があるのは非常に珍しく、三成も慎重に策を考えていた。
『裏を返せば、斬っても殺さなきゃいいって事だよな。俺は信長様から直々に暴れていいと許可をもらってる。存分に暴れさせてもらうぞ』
最新の注意を払いながら、小谷城を巡る戦いが始まろうとしていた。