第7章 風魔の忍
安土城の広間には信長と武将たちが集まり、これからの事について話し合いが行われていた。
難攻不落と呼ばれる小田原城はかつて謙信や信玄も攻めた事があった。
しかし、その造りや鉄壁の防御により撤退を余儀なくされていた。
『小田原は鋳物の製造が盛んだ。それ故、鉄砲隊の規模はすでにこちらより上の可能性がある。正面から攻めれば甚大な被害が出るのは目に見えているな』
小田原城を責めるのがいかに難しいかは信長もよく分かっていた。
『光秀、小田原に送った斥候はいつ戻る』
『早くてもあと3日は必要かと。ですが別の場所に潜らせていた斥候が顕如の動きを捉え、後を追っております』
『顕如か、奴は今どこだ』
『手勢を率いて小田原に向かっている様です』
その場にいる全員が揃った様に動きを止めた。
『北条は天下統一、顕如は俺への復讐、敵が同じ者同士で手を組んだか。全員戦に備えておけ。情報が入り次第すぐに軍議を行う』
口にはしないものの皆が直美の身を案じていた。