第31章 蘭丸
『光秀、顕如が自由の身になれば何が起こるか想像できるな』
『当然ながら、引き渡しに成功すればその後に待つのは戦しかありません。それも顕如だけでなく、伊賀の忍や毛利元就の統治する中国地方の大名たちが絡んでくる可能性があります』
それを阻止するためには引き渡しに応じないのがやはり一番の策ではあるのだが。
はっきり口にはしないものの、信長も光秀も他の武将たちも頭を悩ませながらこの状況をどうするべきか必死に考え続けていた。
佐助が謙信のお酒を買いに行きながら光秀の御殿に文を届けている間、直美と信玄は囲碁勝負をしていた。
そのすぐ横では謙信と蘭丸が囲碁勝負の展開を見守っている。
『姫、腕を上げたんじゃないか?』
『実はまた三成くんに鍛え直してもらったんです。だから簡単には負けませんよ!』
信玄には連続で2度負けていた。
しかも2度目の負けの時には未来から来たことを自分の口から説明する展開になってしまった。
何も賭けてないとはいえ、3回も連続で負けるのは自分のプライドが許さない。
だから今回はどうしても負けたくなかった。