第31章 蘭丸

『成る程な。蘭丸と直美は今夜は城下の上杉たちの所にいるという事だな』


『まさか城下にいるとは驚きましたが。軍神と甲斐の虎の元にいるなら不測の事態があっても大丈夫でしょう』


『引き渡しは明日か、随分と急だが考えられる理由は何だ？』


信長には大体の理由はすでに検討がついていたが、光秀の話を聞きながら自分の考えていた事を照らし合わせていく。


『もちろんこれは憶測ですが…時間をかければかけるほど２人の身の安全が保証出来ないということかと。今日の状況から蘭丸か、直美か、もしくは２人とも狙われている可能性が高いのでは』


もちろんこれは信長が考えていた内容と一致する。


『伊賀の忍の裏には毛利が潜んでいたな』


『はい。西に送った斥候からの知らせでは毛利本人が動き出す様子はまだなく、信長様に斬られてからは体調も万全ではない様です』


『引き続き毛利の動きを見張らせて逐一報告しろ。明日は再び秀吉、三成を連れて引き渡し場所に行く。最終的に引き渡すかどうかは向こうの出方次第だ』


織田軍としても黙っていうことを聞いているだけではない。


２日連続の２度の失敗は許されないため、慎重にならざるをえなかった。