第31章 蘭丸
『直美の友達の軒猿のお兄さんの所に行こう!』
『えっ!?佐助君の所に?』
いきなりの提案に思考が追い付かない。
『何で?何で佐助君の所なの?』
『まだ安土城下に滞在してるんだよね』
『そうだけど…』
『顕如様を救うまでの間、せめて今夜だけでも身を置かせてもらおうと思って。安土城にも近いから安心でしょ?』
『いやいや、さすがに無理だと思うけど…』
『直美が毛利さんに狙われてるって知ったら他の2人も黙ってないと思うけど。それにあの人たち、今は表立って織田軍と戦わないけどまだ敵なんでしょ?俺からしてみれば敵の敵は味方だからね』
『うーん、そうかもしれないけど……』
『じゃあ、今夜はここで野宿する?』
『それはちょっと…』
『じゃあ決まり!どこに滞在してるか知ってるから早く行こうよ!』
蘭丸のペースに押され、周辺に潜んでいる忍と織田軍の目をかいくぐりながら安土城下に向けて歩き始めた。