第31章 蘭丸
『蘭丸君…終わりなの?それって違うよね。そこからまた始まるんでしょ?』
もし顕如が地下牢から出て自由の身になれば、必ずまた新たな戦いが始まるのは目に見えている。
『……うん、そう。織田軍に復讐するための戦いが始まる。だけどね、直美を直接巻き込むのはこれで終わり!そういう意味だから』
(蘭丸君はそう言ってるけどそれじゃ意味がないよ…)
『あのね、どうにかしてこの先戦わないで済む方法って何かないのかな?織田軍と絶対に戦わなきゃ駄目なの?』
戦になればまた多くの人が巻き込まれて命を落とす。
それが分かっているのに戦う事をやめられないなんて。
甘いと言われるだろうけど戦う以外の方法があるのなら知りたい。
『直美、もし戦うのが嫌なら……このままずっと俺と一緒にいる?この前はいいところで光秀様に邪魔されちゃったし』
急に真剣な表現になって近づいてくる蘭丸を警戒してすぐに距離を取った。
『蘭丸君!私、そういうつもりで言ったんじゃないから』
『うん、分かってる、冗談だよ!さてと、仕切り直しが必要になっちゃったな。このままだと俺たち2人とも狙われて危ないしどうしようかな……あっ!そうだ、良いこと思いついちゃった!』
蘭丸は急に何かを思い付いたらしく、その表情は無邪気な少年そのものだ。