第31章 蘭丸
『蘭丸様、織田軍の姿が見えてきました。いかがいたしますか?』
(蘭丸様……様ってことは、蘭丸君は伊賀の忍の中では偉い立場にいるんだろうな)
『これ以上、毛利さんの依頼は受けない。俺は顕如様が戻ったら直美を安土城に帰して手を引かせてもらう』
『そうですか……それなら新しい依頼は私が承る事にいたします』
『『!!』』
忍の男が忍刀を抜いて突然蘭丸に斬りかかる。
蘭丸も応戦するが突然の事に体勢を崩し、防戦するので精一杯だった。
(何がどうなってるの!?)
目の前の光景に驚きが隠せない。
『直美、逃げて!早く!!』
『でも蘭丸君が!』
『いいから!織田軍の元に早く!!』
力強くそう言われ、西の方向に向け一人で全力で走り出した。