第31章 蘭丸
『直美、秀吉様の御殿に行くんでしょ?秀吉様の代わりに直美を迎えに行く様に頼まれたんだ!』
『………本当?』
『俺の事、警戒しちゃった?昨日の事なら謝る。ごめん。もうしないから許して!お願い!』
『…………』
謝られてすぐに「はいそうですか」と言うわけにはいかないけれど。
どうやらこちらの沈黙を「了解した」と一方的にかなり都合よく解釈したらしい。
『秀吉様の御殿へのとっておきの近道を教えてあげるから早く行こうよ!』
無邪気で楽しそうな蘭丸を強く拒む事も出来ず。
(本当は秀吉さんと行きたかったんだけどなぁ)
ちょっとだけもやもやした気持ちのまま、秀吉の御殿に向けて2人で歩き始めた。