第31章 蘭丸
『三成くん!政宗はどうしたの?』
三成も女の子たちに囲まれているのだが、状況を理解するためになんとか近づいて三成に話しかける。
『直美様、突然すみません。お迎えに参りました。詳しい話は歩きながらいたします』
女の子たちにエンジェルスマイルを送ると、三成は直美と並んで安土城に向けて歩き始めた。
『三成くん、一体どうしたの?政宗は?』
『実は城下だけでなく城下町にも伊賀の忍が入り込んだとの情報を受けて、政宗様と秀吉様がすぐに城下町の見回りをする事になり、それをお伝えしに参りました。直美様の事は私が安土城まで護衛いたします』
なるほど、そういう事なら仕方がない。
しかし家康の話では城下の見回りをすでに強化しているはずだ。
それなのに城下町にまで入り込んでくるとはどこか不自然なものがある。
もしかしたら誰かが手引きしているんじゃないかと疑ってしまうのだけれど。
(いやいやいや、まさかね……)
『直美様、どうかしましたか?顔色があまりすぐれない様ですが。もう少しゆっくり歩きましょうか?』
『ううん、大丈夫だよ。何でもないの』
こういう時の嫌な予感は当たるものと決まっている。
だが軽々しく口にするのもどうかと思い、三成に悟られない様にしながら安土城への道を歩いていった。