第31章 蘭丸
その後、すぐに政宗と合流して馬に乗る練習に付き合ってもらった。
『よし、基本は出来てるな。じゃあ今日は早駆けしてみるか』
『いきなり?まだ無理だよ』
『大丈夫だ。俺の馬についてこい。最初はゆっくりで少しずつ速度を上げるからな。難しいことを考えないようにしてひたすらまっすぐ走れ。頭じゃなく、体で覚えろ』
早駆けといえば政宗の代名詞だったのに。
自分一人でこうして馬に乗って駆ける時か来るなんてまだ信じられない。
(今までも色々あったけれど、この先も何があるか本当にわからないな)
政宗の背中を追いかける様にして馬を走らせた。
『うん、良し。合格だ。なかなか筋がいいんじゃないか?』
『そうかな、御影のおかげかも』
『御影?』
『うん!御影はこの馬の名前だよ!遠江鹿毛(とおとうみかげ)って名前のままじゃ長いから、最後の3文字のみかげを取って新しい名前にしたの』
『そうか、いいんじゃないか?馬は頭がいいからな。可愛がってやればその分ちゃんと愛情を返してくれるぞ』