第31章 蘭丸
入れ違いで天主にやってきたのは光秀で、廊下ですれ違った瞬間に信長とどんなやりとりがあったのか表情から読まれてしまった。
『蘭丸の世話役は継続の様だな』
『光秀さんからも一言だけでいいんで言ってください!』
『それは無理だな、信長様には信長様の考えがある』
『だけど…蘭丸君のことが私にはよくわかりません。だから近くにいると不安なんです』
『大丈夫だ、じきにわかる。そのためにはお前の協力が必要だ、わかるな?』
『全っ然わかりませんっ!私は何も協力なんてしませんから!』
『すでにしている。だが信長様が言わないのなら俺も何も言わないでおこう』
『……2人とも意地悪すぎます』
『最高の誉め言葉だな。政宗が探していたぞ、早く行ってやれ』
光秀との会話も何かスッキリしないままその場を離れた。