第31章 蘭丸
『直美!一緒に来てくれないと面白くないから早く来てよ~!!』
『わかったからちょっと待ってて!佐助君、また今度ゆっくり話そうね』
『うん、それと…』
耳元で佐助が小さくつぶやいた言葉が衝撃だった。
『まだ確定したわけじゃないけど蘭丸君は多分、忍だ。どこの忍びなのか、実は光秀さんと一緒にしらべてる。あまり2人で遠出しないようにね』
『え………』
『直美ーー!!早くーーー!!』
名前を呼びながら無邪気に手を振る蘭丸が実は忍かもしれないなんて。
(なんのために、どうして……)
佐助と別れたあとは百面相にならない様に気を付けながら城下町の散策を続ける。
思うことはたくさんあるけれど、蘭丸が忍だと確定したわけじゃない。
もちろん光秀が動いている時点で可能性はかなり高いのだろうけど。
今は余計な事を考えるのを止めて普通に接していよう、深入りは絶対にしない、そう決めた。