第30章 褒美
『ああ。黙っていたが未来から来たことも信長様から聞いた。全てお前を助けるためだ、信長様を責めるなよ』
『責めたりなんかしません。むしろ良かったです。私から光秀さんに言っても信じてもらえないかもしれないから』
『確かにそうだな。直接未来から来たなどと聞いた所で、普通の人間はまず信じないだろう』
『光秀さん、それって信長様のことを普通じゃないって言ってるみたいに聞こえますよ!』
『信長様は大うつけだの魔王だの呼ばれている。知っているだろう?お前には信長様がそこら辺にいる普通の男と同じに見えるのか?』
『全然見えませんよ、これっぽっちも』
『ふっ、全否定したな』
『ああーっ!!』
(信長様は普通じゃないと自分もあっさり認めてしまった!信長様、隠れて聞いてなかったよね?それにしてもさすが見事な誘導尋問、下手な事を言って怪我する前に帰ろう)
何気ない会話のはずなのに本当に調子が狂う。
しかしそのおかげで安土城までの道のりはあっという間だった。