第30章 褒美
しかも褒美をもらっただけではない。
『一通り乗りこなせる様になったら視察を兼ねて故郷の遠江に連れて行ってやる。確か出身は三方ヶ原の近くだと言っていたな』
笑顔でそう言ってくれたのだ。
以前から500年前の自分の故郷がどうなっているのか非常に興味があった。
これは何としてでも乗りこなせる様になりたい。
『手の空いた者に乗り方を教えさせる。皆が忙しい時には蘭丸に教えてもらえ』
そういえば蘭丸も馬に乗っていたなと、昨日の出来事をぼんやりと思い出した。
『ありがとうございます!さっそく今日から練習します!』
『よし、やる気は十分ある様だな。では今から練習だ、付き合ってやる』
『へ?』
突然の事に一瞬耳を疑ってしまった。
『でも信長様、公務は?』
『案ずるな、秀吉に全て押し付けてきた』
(押し付けた!?秀吉さん、大丈夫かな)
信長は今日は最初からそのつもりで来た、そう考えると今回与えられたのは全てがお金や物とは次元の違う、とっておきの褒美に感じられた。