第28章 佐助のターン
『2人とも久しぶり!会いたかったよ!』
そう言いながら近寄ると、政宗がいきなり手首を掴んで直美を引き寄せぎゅっと抱きしめる。
『ちょっと!政宗っ!!』
『心配させた罰だ』
(罰?言ってる事とやってる事が反対だよ…)
突然の事にビックリしてそのままの状態で家康に目を向けると、呆れた顔をしながら直美に近寄り、両手で直美の頬をつまんで引っ張る。
『これは俺がいない所で熱を出した罰だから』
『ご、ごめんなひゃひ…』
抵抗もできずに2人にされるがままなのだけれど、今はそれがひどく心地よい。
『『とにかく無事で安心した』』
家康と政宗が同時に発した言葉が胸に響いて泣きそうになった。
『ふはえひひへふへへ、はひはほ~』
『ぷっ!ちょっと何言ってるの、全然わからないんだけど!』
笑われるのも仕方がない。
家康にまだ頬を引っ張られながら、涙をこらえて言っているのだ。
『はい、もう一回ちゃんと言ってみなよ』
家康が笑いながら手を緩める。
『も~!迎えに来てくれてありがとうって言ったのにこれじゃ台無しだよ!政宗もいつまでこうしてくっついてるの!!』
怒りながらもその顔は笑っていた。
久しぶりに心の底から笑った気がした。