第28章 佐助のターン
『謙信、毛利が伊賀の忍を雇ったのはすでに調べがついている。織田軍と伊賀の忍たちの関係が最悪なのは今始まった話じゃない。狙われたのは佐助じゃなくて天女の方だ』
『ああ。一歩間違えれば爆発に巻き込まれてどうなっていたかわからぬ。だが毛利があの女を簡単に殺すとは考えにくい。信長に復讐するには一番利用出来るからな』
『現場に来れないから全く統制が取れてないんだろ。伊賀の忍は何とかして織田軍とその関係者に復讐しようと必死になってるんだ』
この時点で、景家の偵察と三ツ者の報告により近隣の村に伊賀の忍が入り込んでいることも調べがついていた。
『安土に戻る道は塞がれた様なものだ。帰れぬならしばし春日山城に身を寄せればいいだろう』
謙信がどこまで本気で言っているのかわからないが、その言葉に全く嘘はなかった。
『簡単に言うけど簡単な事じゃないからな。信長が戦を覚悟の上で軍を率いて直々に天女を迎えに来るかもしれないんだぞ』
『ふん、ならば信長が出てくる前にあの女を安土城まで送り届けてやればよい。俺たちが無能だと思われては面白くないからな』
『そうなるか。まあ、無能だと思われるくらいならその意見には賛成だけどな。佐助も反対はしないだろ』
そんな会話があった後、謙信と信玄は佐助と合流してお互い得た情報を報告したのだった。