第6章 初めての出陣
三成が本陣を出る少し前、支城では政宗が正面入り口を突破し、更に奥へと突入しようとしている所だった。
左には家康の部隊も見えていて、支城の陥落はもはや時間の問題かと思われた。
政宗と家康は戦いながら互いに目を合わせると、支城の裏手にある橋を落とすため複数の部下をそれぞれ向かわせる。
しかし部下たちが戻って来る事はなかった。
一方、信長は右側から支城に近づきながら早くも異変に気付いていた。
思っていたより敵の兵が多く、なかなか支城に近づく事が出来ないのだ。
自分が支城に行かなくても政宗と家康が橋を落として城を潰せば目的は達成されるのだが、なかなか勝利の狼煙が上がらない。
『どうやらすでにこちらの情報が流れていたようだな。だが、この程度の城を潰せぬ様では天下統一など到底無理な話よ』
信長は敵の兵を馬上から次々なで斬りにすると、ぎらついた瞳のままニヤリと笑みを浮かべ前に進んでいく。
『あれが織田信長ですか、今日は面白いものが見られそうですね』
直美を連れて戦う信長の姿を、離れた場所から見ている者がいる事に誰も気が付かなかった。