第6章 初めての出陣
支城の正面に向かう政宗の部隊が敵の兵を次々と倒し前に進んでいく。
家康も自ら刀を振るい、弓の部隊を率いて戦いながら支城へと向かって行った。
信長と直美も織田軍の兵たちと共に城の右手に向かう。
城の周囲はまさに合戦場となり、刀のぶつかり合う音、倒れた兵のうめき声、土埃や草木の燃える匂いなど現代では考えられない光景が広がっていた。
(嘘っ!本陣で待つんじゃなくて戦場に連れていかれるなんて想定外!早く帰りたい!)
直美は信長の背中にしがみつき、落ちないようにしているだけで精一杯だった。
しばらくして政宗が正面から支城に突入するのと同時に、支城の裏手に3人の男の姿が現れる。
『どうだ、俺の三ツ者は本当に優秀だろう』
『織田信長と戦えるとは久しぶりに楽しい戦になりそうだ』
不適な笑みを浮かべる信玄、謙信、その後ろには佐助の姿があった。
三ツ者は全国で諜報活動を行い、確実に裏付けされた情報だけを信玄に報告している。
今回の織田軍の出陣も安土に潜んでいた三ツ者により事前に情報が流れていた。
『謙信、もし織田軍の本陣から石田三成が来たら数ではこちらが不利だ。その時は悪いが引かせてもらう』
『石田が来る前に全員斬ってしまえばよいという事だろう』
『まあ、そうだな。こちらの援軍を警戒して必ずこの橋を落としに来るはずだ。順番に相手してやればいい』
信玄と謙信が来る事を当然ながら三成も想定していた。
指定した刻に狼煙が上がらない場合は三成も城攻めに加わる事になっている。
本陣から見える支城を三成は思案しながら見つめていた。
そしてついにその刻となり、刀を取り馬に乗って本陣を後にする事となった。