第28章 佐助のターン
『これは俺の憶測ですが、伊賀の忍たちは黒幕の指示通り動きながら織田軍への報復も狙っていると思います』
家康も政宗も佐助の言葉を静かに聞いていた。
『否定はできないね。早く安土に帰らないとまた面倒な事になるんじゃないの?』
『家康さんも政宗さんも狙われる可能性があります。気をつけてください』
『売られた喧嘩は買う主義だ。しっかり返り討ちにしてやるから心配いらないぞ』
佐助は織田軍と伊賀の関わりを確認すると次は謙信たちに合流してこれまでの報告をお互いに行う。
それからすぐに風魔の隠れ家に戻り、再び稽古をつけてもらいながら時間を過ごした。
厳しい稽古が終わった後、小太郎と佐助は直美の部屋を訪れていた。
直美は上半身を起こして小太郎が入れてくれたお茶を受け取る。
体調もかなり良くなり、今すぐにでも安土城に帰りたいと思っているのだけれど。
やはりなかなか上手くいかない事情がある様で佐助も小太郎も硬い表情をしていた。
『調べによると、今回狙われたのは織田軍に関わる人間だ。もちろん直美さんも例外じゃない。間者となった伊賀の忍が朝倉から情報を入手して、直美さんが一乗谷城に来るのを狙って爆発を起こしたんだと思う』
『やっぱり私が狙われてたんだ……佐助君、小太郎さん、巻き込んでしまってごめんなさい』
『直美様が謝る必要はありません。貴女は逆に巻き込まれたのですよ、被害者なのです。大きな怪我がなくて本当に良かった』
今こうして普通にお茶を飲みながら会話が出来るのは全て佐助と小太郎のおかげだ。
2人に対しては感謝の気持ちでいっぱいだった。