第28章 佐助のターン
『小太郎さんの話によれば、あの追っ手は一乗谷城に間者として潜り込んでいた伊賀の忍らしいんだ。用意周到に爆発を起こしたのもそうだろう』
『伊賀?忍?』
『うん。伊賀の忍は特定の主を決めずに、報酬目当てでどんな依頼でも受け入れる。誰が何のために雇ったのかは謙信様たちが調べている最中だよ』
『そっか、よくわからないけど早く安土城に帰りたいな』
『みんな城下町で待ってる。体調が落ち着いたらすぐにでもここを発とう』
佐助の言葉に安心し、再び横になったまま目を閉じた。
直美が眠りにつくと、佐助は政宗と家康の元に向かい、追っ手の正体が伊賀の忍であることを報告する。
『家康さん、政宗さん、1つ大事な事を聞きたいんですがこれまでに織田軍が伊賀の国を攻めたことはありますか?』
『伊賀?確かあるけど。それが何なの?』
『俺たちは出陣してないから詳しくは知らないが、村も寺も焼き払われてかなり凄惨な状態だったらしいぞ』
(やっぱり。いわゆる天正伊賀の乱だ。俺が来る前にすでに起きていたのか)
住む場所だけでなく国を追われた伊賀の忍たちが織田軍に恨みを持つことは容易に想像できた。
今回、伊賀の忍がたとえ金銭で雇われて指示された通りに行動を起こしたとしても、隙あらば織田軍に牙を向けてくる可能性が充分にあるのだ。