第28章 佐助のターン
『小太郎さん、ここはどこですか?私と一緒にいた佐助君は無事ですか?』
『安心してください。ここは風魔の隠れ家です。佐助殿も無事です。直美様の体調が落ち着くまでここでゆっくり休んでいってください。織田軍にもここにいる事を知らせてありますから何も心配はいりませんよ』
小太郎は繋いでいた右手の指先にそっと触れるような口づけをすると、手を離して立ち上がる。
『佐助殿を呼んで参ります。お待ちください』
小太郎はそう言うと静かに部屋を出ていってしまった。
何がどうなっているのかまだよくわからない。
(爆発が起きて、佐助君の背中で寝ちゃって、その後は川に飛び込んだ…で、合ってるのかな)
必死に今までの事を思い出していると、佐助が部屋に駆けつけてくれた。
『良かった、目が覚めたんだね』
『心配かけてごめん。もう大丈夫だよ』
『ううん、謝るのは俺の方だ』
『佐助君?』
口調も表情もいつもと同じなのに、何だか様子が違う気がする。
『3日も熱にうなされてたんだ。今回は小太郎さんのおかげで本当に助かったよ』
『佐助君、疲れてるの?ちょっと痩せたのかな』
やはり何かが違う気がしてならない。
『変わりないよ。ここに来てから毎日小太郎さんに稽古をつけてもらってる。それだけだから』